07:ホワイトクリスマス
クリスマスイブの夜、
その家は小さなコンサートホールになった。
集まった友人、知人たちは、
リビングルームに置かれたグランドピアノを囲んで、
思い思いに腰を下ろした。
このコンサートのS席は、
吹き抜けホール2階のテーブル席であったが、
そこは愛らしい小学生の2人の娘を連れた家族によって
いち早く占められていた。
ダイニングのカウンターの椅子には男たちが陣取って、
早くもグラスを傾けていた。
そう、この家の椅子という椅子はすべて
ファミリー・コンサートの来場者によって占められ、
座りきれない人たちは、リビングルームから続く階段や、
まだ新築の木の香が漂う床に腰を下ろして演奏の開始を待った。
ほどなく、今夜の主役であるこの家の婦人が
白いドレスを身に纏って現れ、ピアノの前に座った。
美しい音色があふれ出した。ショパン、シューベルト、プロコフィエフ、
そしてミサ曲の聖なる調べ。
雪こそ舞い降りてはいなかったクリスマスイブ。
しかし、壁という壁が真白く塗られた空間に
ピアノの音色が紡ぎ出された時、
その家の窓から天使がのぞいてはいなかったろうか。
ホワイトクリスマス!
そして
メリークリスマス!