04:風は榛名より。
玄関ホールの大きなガラスの向こうで
時折、森が風に揺れている。
ペアガラスの窓は
陽光だけを家に招き、
風の音を遮っている。
やがて
腕白盛りの男の子が
庭からデッキに上がってきて
台所の母に
なにやら合図を送る。
土に汚れた手と顔。
その手をズボンで拭うと
また庭に駆けていく。
紅梅の下で、飽くことない土いじり。
隣家から祖父が
山で採ったフキノトウを手に現れ
デッキの椅子に腰掛けて
忙しく動く孫をみている。
そのうち、
母が女の子を抱いて
家から出てきた。
父が2階の書斎から下りてきた。
まだ
浅い春。
風は、青い榛名の山から吹いてくる。
自然の中で暮らす
家族の
この「山荘」に……。